もくじ
「5年前に購入した家なんですけど、家内の名義にしたいと思っています」
本日、電話で問い合わせをいただいた男性(W様)からの相談内容です。
今回、家の名義を変更したい理由は「離婚」ではなく、Wさんが経営する事業が住宅の購入後、(コロナの影響があり)芳しくない状況が続いており、奥様と共有で所有している家の名義を奥様の名義に変更したいとのことです。
持分はW様が8/10、奥様が2/10とのこと。
事業は13年目とのことですが、家を購入されるまでは非常に調子が良かったことから、マイホームを購入されたとのことですが、ちょうどコロナと同時期で事業も大きく影響を受け、その後もなかなか回復しないまま、現在に至っておられるとのことです。
金融機関からの事業融資(●億円)の返済が毎月、相当な額となっており、返済できていない状況が続いているため、このままではいずれ・・・ということでのご相談です。
私も事業を行っている立場としては、Wさんの心境を少なからずは理解、認識できているつもりです。今後のことを考えるものの、目の前の辛い状況が現実として覆いかぶさってくるだけで、実際、逃げたくもなるし、誰か助けてくれないかなとストレスという言葉で単純に表現するには適切ではないほどの状況であることは容易に想像できます。
ただ、(電話先の)W社長からは、そうした暗く落ち込んだ印象はなく、「自分はどうなっても良いので、何とか家を家内の名義に変更して(家族のために)家だけは残したいという思っています」という想いを伝えられました。
どの相談者さん、どのような問題であっても、私は折角、ご縁をいただきご相談をいただいた方ですので、全力で取り組み、何とかお役に立ちたいという想いでこの不動産の名義変更という問題に取り組ませていただいております。
ただ、私も人なので、相談者さんが厳しい状況、大変な心労を抱えておられる状況を目の当たりにすると、心情的に「どうしてもこの問題を解決させていただかなければ」という想いが一層強くなります。
今回も同様です。業種は異っても、(お話をさせていただく中で)同じ事業者として厳しい社会状況の中で真摯に頑張って事業を行っておられる方ですので、何とかその期待に応えたいと思わずにはいられませんでした。
また、相談のお電話の際、「動画を見て、感銘を受けたというか、素晴らしいなと思い、相談させていただきたいと思いました」と仰っていただけたことも私としては嬉しく、「ご期待に応えられるかは分かりませんが、頑張ります!」とお返事させていただき、翌日、弊社にて面談を行わせていただくこととなりました。
※W社長にご覧いただいた動画(私の自己紹介とサービスについての紹介)
共有名義、単独名義のいずれにしても、家の名義を配偶者へ変更したい(自分の名義に変更したい)というご相談を弊社では常にいただいておりますが、今回のケースではそれを行うことで現時点では4つの問題があると思われます。
・住宅ローンを連帯債務で組んでいること
・奥様のご年収が持分(持分相当の残債)を引き受けるには大きく不足していること
・場合によっては、事業(借金)が原因のため、財産逃れ的なものとなってはならないこと
・税務的な問題が生じる可能性があること
面談では、ご自宅、名義変更のことに限らず、互いに事業者であることからいろいろとお話させていただき、W社長の事業の内容や現状についても初対面であるにもかかわらず、少し突っ込んだ内容でお聞かせいただくことができました。
自分とは異なる業界や職種の方のお話をお伺いすると「なるほど、そうなのか」といったようにその業界では当たり前のことであっても、初めて知ることや、面白いことが多く、今回もご相談の場にもかかわらず非常に貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。一方、W社長にとっては無用な長話となってしまい、申しわけございませんでした。
そもそもの可否についてや可能な場合の方法等を検討させていただくにあたり、資料の提出をお願いし、後日、改めてご報告させていただくこととなりました。
W社長からはメールにて、面談時に依頼させていただいた資料を早々にご案内をいただけたことで、取り組みの可否や方法をすぐに検討することが可能となりました。
いろいろと検討や確認を行った上で、報告させていただく内容を早期でまとめることができたため、W社長へ面談のご連絡をさせていただいたところ、早々にご面談をいただけることとなりました。
残念ながら今回は弊社としてはお役に立てるような方法でのお手伝いができない可能性が大きいことをお伝えさせていただきました。一番の理由は奥様のご年収からは現状の持分や持分相当となるW社長の住宅ローンの残債を引き受けるだけの資力、与信が乏しいことに尽きます。
期待してW社長にお越しいただいたと思うと私も非常に残念な思いでいっぱいです。
ただ、何もできない、提案できないということでは、折角、ご相談を頂いたことに対して何も応えることができていないことで自分自身も不完全燃焼といったところがありますので、以下の方法であれば目的を達成いただけるかもしれないことをお伝えさせていただきました。
これは弊社の事業とは関係のないことですが、何かお役に立つことができれば・・・ということでの提案となります。(細かく説明するには相当な量となるため、ここではポイントだけ箇条書きさせていただきます)
・W社長の持分と債務を贈与により奥様が引き受ける
・ご自宅の時価と奥様が引き受ける持分(債務)との差額が贈与とみなされる可能性がある
・W社長には譲渡税が発生する可能性(現時点では短期譲渡で税率も高い)
・婚姻期間20年以上の配偶者控除の利用
贈与により所有権を奥様の単独名義へ変更することが可能であるかもしれませんので、一度、税務署へ資料を持参の上、相談いただくことをお勧めしました。
W社長と奥様、ご家族様が何らかの方法でご自宅を残していただければと願っています。また、それ以上に、コロナという外的な要因により、大きく事業が損失を被られたことは、本当に残念ですが、事業がコロナ以前のように復活いただけることをより強く願っております。