「離婚することになり、夫から家を譲り受けることになりました。財産分与なら税金はかからないと聞いて安心していたのですが、知人から『やり方によっては何百万円も税金が来るよ』と言われて不安になっています…」
今回は、このように税金の仕組みが複雑で、どの方法で名義変更すべきか悩まれていた、大阪府のS様(30代女性)の事例をもとに、離婚時の不動産取引に潜む税務リスクと回避策を解説します。
離婚に伴い不動産を手放す、あるいは買い取る際、多くの方が誤解しているのが「税金の扱い」です。
確かに、原則としてはその通りです。 しかし、「住宅ローンが残っている場合」や「家の価値が購入時より上がっている場合」、あるいは「養育費の代わりに渡す場合」などは、思いもよらない税金(譲渡所得税や贈与税)が発生することがあります。
後から税務署の通知を見て青ざめることのないよう、今回は離婚時に注意すべき税金のポイントを整理しました。
もくじ
まず、名義変更の理由(登記原因)が「財産分与」なのか「売買」なのかで、かかる税金が異なります。
夫婦の共有財産を清算する行為なので、もらう側(妻)に贈与税や不動産取得税は原則かかりません。 ただし、渡す側(夫)には、家の価値が上がっている場合に「譲渡所得税」がかかる可能性があります。
夫から妻へ売る場合、通常の不動産取引と同じ税金がかかります。
「じゃあ財産分与一択では?」と思われますが、住宅ローンが残っている場合は、銀行の承諾を得るためにあえて「売買(借り換え)」の手法を取ることが一般的です。 その際、税負担をどう抑えるかがプロの腕の見せ所となります。
S様が検討していたのが、この「養育費の代わりに家をもらう」という方法でした。 実はこれ、税務上は非常に危険なリスクをはらんでいます。
夫が妻に「養育費(現金)」を払う代わりに「家(現物)」を渡すことを、法律用語で「代物弁済(だいぶつべんさい)」と言います。
税務署はこれをどう見るか? 「夫は家を時価で売却し、そのお金で養育費を支払った」とみなします。
もし、その家が購入時より値上がりしていた場合(含み益がある場合)、夫には「譲渡所得税」が課税されます。 お金を一銭も受け取っていないのに、税金だけ払わなければならないという事態に陥るのです。
では、値上がりしている家を渡す場合、必ず税金を払わなければならないのでしょうか? ここで登場するのが「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」です。
これは、マイホームを売却(譲渡)した際、利益から3,000万円までを差し引いて税金を計算してくれる(=実質税金ゼロになる)特例です。
しかし、この特例には「配偶者への譲渡には使えない」という厳しいルールがあります。
S様の場合、離婚前に手続きをしようとしていましたが、私たちは「必ず離婚届を出した後に決済(名義変更)を行ってください」とアドバイスしました。 この順序を守るだけで、数百万円の税金リスクを回避できたのです。
私たちは提携税理士と連携し、S様に以下のプランを提案しました。
結果、S様は無駄な税金を払うことなく、また銀行審査もクリアして、無事に家を自分名義にすることができました。
離婚と不動産は、税務上もっとも誤解が生まれやすい領域です。 「ネットで見たから大丈夫」と自己判断で進めてしまい、後で税務署から「お尋ね」が来て青ざめるケースは珍しくありません。
これらに当てはまる方は、手続きを進める前に必ず専門家にご相談ください。
当センターでは、不動産実務だけでなく、税理士と連携した「税務リスク診断」もワンストップで行っております。 あなたの手元に残る資産を最大化するために、最適なプランをご提案します。
※税務署は「税金の計算方法」は教えてくれますが、「どうすれば税金が安くなるか(有利な選択)」まではアドバイスしてくれません。 「あなたにとってベストな解決策」を知りたい方は、不動産実務と税務の両方を知る私たちにご相談ください。
多くの銀行は、離婚に伴う単なる「名義変更」や「借り換え」を嫌がります。 スムーズに審査を通すコツは、「夫から妻へ、正式に家を売却する(元夫婦間売買)」という形をとることです。 これには不動産会社が作成する「重要事項説明書」「売買契約書」が必須です。銀行に行って断られる前に、まずは私たちにご相談ください。
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