今回は、「定年退職を控えた夫との熟年離婚。老後のために今の家に住み続けたいけれど、住宅ローンが残っているし、夫の退職金も財産分与してもらいたい…」という複雑な状況で悩まれていた、兵庫県のK様(50代女性)の解決事例をご紹介します。
「熟年離婚」において、最も大きな争点となるのが「自宅」と「退職金」です。 長年連れ添った夫婦にとって、家はただの資産ではなく、老後の生活基盤そのもの。 そして退職金は、これまでの内助の功に対する正当な報酬であり、これからの生活資金でもあります。
「夫は『家を売って現金を分けよう』と言うけれど、この年齢で新しい住まいを探すのは不安…」 「退職金をもらえる権利があるはずだけど、どうやって請求すればいいの?」
K様もまた、夫との話し合いが平行線をたどり、将来への不安で眠れない日々を過ごされていました。 しかし、私たちはK様に「退職金を使って住宅ローンを消滅させ、家を無借金状態で手に入れる」という解決策を提案しました。
今回は、K様がどのようにして老後の安心(家と資金)を手に入れたのか、その全貌を解説します。
もくじ
まずは、ご相談いただいた当時のK様の状況を整理します。
依頼者: K様(50代後半・女性・専業主婦)
家族構成: 夫(60歳定年目前)、K様、子供(独立済み)
家の名義: 夫単独名義
住宅ローン: 残高800万円(夫名義)
夫の退職金見込み: 約2,000万円
夫は定年退職を機に離婚を切り出してきました。 夫の提案は「家を売却してローン800万円を返し、残ったお金と退職金を折半しよう」というものでした。
一見公平に見えますが、K様には大きな不安がありました。 専業主婦だったK様には十分な年金が見込めず、家を売ったお金でアパートを借りても、家賃を払い続けられるか分かりません。 「住み慣れたこの家で、安心して老後を過ごしたい」というのがK様の切実な願いでした。
熟年離婚では、以下の2つの要素が絡み合うため、解決が難しくなります。
退職金は「給与の後払い」的性格を持つため、婚姻期間に対応する部分は財産分与の対象になります。 しかし、まだ受け取っていない退職金をどう計算し、どう保全するかは法的に難しい問題です。
夫名義のローンが残っている場合、妻が引き継ぐ(借り換える)には年齢や収入の壁があります。K様のような専業主婦の場合、単独での借り換えはほぼ不可能です。
私たちはK様の「家に住み続けたい」という希望を叶えるため、以下のスキームを提案し、夫との交渉を行いました。
夫に対し、家を売却するのではなく、「退職金が出たら、まず優先的に住宅ローン(800万円)を一括返済する」ことを提案しました。 夫にとっても、ローンという借金がなくなることはメリットであり、金利負担も消えるため合理的です。
ローン完済後の「無借金の家(価値2,000万円相当)」と「残りの退職金(1,200万円)」を財産分与の対象としました。
全体の財産: 家(2,000万円)+ 残り退職金(1,200万円)= 合計3,200万円
K様の取り分(1/2): 1,600万円
K様は「家(2,000万円)」を取得する代わりに、取り分(1,600万円)を超えた400万円を、ご自身の独身時代の貯金から夫に支払う(代償金)ことで合意しました。
これにより、K様は「無借金の家」を手に入れ、夫は「退職金の残り+代償金」というまとまった現金を手に入れることになりました。
公正証書を作成し、退職金が支払われた翌月に手続きを実行しました。
住宅ローン: 夫が退職金で完済し、抵当権を抹消。
名義変更: 「財産分与」を原因として、夫からK様へ所有権移転登記。
生活: K様は住み慣れた家に、家賃もローンもない状態で住み続けることが可能に。
「『家を売るしかない』と言われた時は目の前が真っ暗でしたが、先生が退職金を使った解決策を考えてくださり、救われました。 夫も『現金が手元に残るなら』と納得してくれて、最後は揉めずに別れられました。これで老後も安心です」
熟年離婚における財産分与は、若い夫婦の離婚とは全く異なります。 「これから稼げない」世代だからこそ、今ある資産(家と退職金)をどう組み合わせて、終の棲家(ついのすみか)を確保するかが最重要課題です。
退職金が支払われる確実は保証はあるか?(公正証書の作成)
税金(贈与税や譲渡所得税)はどうなるか?
年金分割はどうするか?
これらを総合的に判断し、ミスなく手続きを進めるには、不動産だけでなく「相続や年金、税金」の知識を持った専門家のサポートが不可欠です。
「長年尽くしてきたのに、老後の住まいがない」 そんな悲劇を避けるために。熟年離婚を考え始めたら、まずは私たちにご相談ください。 あなたの老後を守るための「設計図」を描きます。
今回は家の話をしましたが、年金分割の手続きも忘れずに行いましょう。これがあるかないかで、老後の受取額が大きく変わります
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