今回は、「離婚して夫の持分を買い取りたいが、夫が相場よりもはるかに高い金額を提示してきて話が進まない。どうすれば適正な価格で納得させられるか…」と悩まれていた、愛知県のT様(40代女性)の解決事例をご紹介します。
離婚に伴う財産分与で、自宅をどちらかが引き取る場合、必ず「いくらで評価するか(評価額)」が争点になります。
家をもらう側(妻): 安く評価して、支払う代償金を減らしたい。
家を出る側(夫): 高く評価して、もらえる現金を増やしたい。
このように利害が真っ向から対立するため、当事者同士で話し合うと泥沼化しがちです。 特に、夫側がネットの一括査定などで出た「高いだけの(売れもしない)査定額」を根拠に主張してくると、話し合いは完全に平行線になります。
今回は、そんな膠着状態を打破するために、不動産のプロである私たちがどのように「公平な評価額」を算出し、円満な解決に導いたのかを解説します。
もくじ
まずは、ご相談いただいた当時のT様の状況を整理します。
依頼者: T様(40代前半・女性・公務員)
家族構成: 夫、T様、子供2人(中学生)
家の名義: 夫とT様の共有(持分1/2ずつ)
住宅ローン: 残高1,000万円(ペアローン)
T様は、子供の環境を変えないために「夫の持分を買い取り、住み続けたい」と希望していました。 しかし、肝心の「家の値段」で意見が対立しました。
T様の主張(実勢価格): 「近所の売買事例を見ると、だいたい3,000万円くらいが妥当」
夫の主張(希望価格): 「ネットで見たら3,500万円で売れると書いてあった。3,500万円で計算して、半分の1,750万円(ローン控除後)を払え」
夫は「3,500万円以下なら売らない。それなら第三者に売却して現金を分けよう」と強硬な姿勢でした。 しかし、3,500万円は明らかに相場より高く、T様がそれを支払うと今後の生活が破綻してしまいます。
「夫は一度言い出したら聞かない性格で…。どうすれば納得してくれるでしょうか」 T様は疲れ切った様子で相談に来られました。
実は、不動産の価格には「一物四価(いちぶつよんか)」と呼ばれるように、複数の基準があります。
固定資産税評価額: 税金計算用の安い価格
路線価: 相続税計算用の価格
公示地価: 国が定めた標準的な価格
実勢価格(時価): 実際に市場で売買される価格
離婚協議で使うべきは「4. 実勢価格」ですが、ネットの一括査定などは「媒介契約を取りたい」という不動産会社の思惑から、「売れる見込みのない高い査定額」が出されがちです。
夫はこの「ぬか喜び査定」を信じ込んでしまっていたのです。
感情論になっている相手を説得するには、「誰もが認めざるを得ない客観的な証拠」が必要です。 私たちは以下の手順で、公平性を担保した評価額を算出しました。
私たちは、単なる「査定額〇〇万円」という紙切れではなく、数ページにわたる詳細な査定書を作成しました。
近隣の成約事例(売り出し価格ではなく、実際に売れた価格)
建物の劣化状況の加味(リフォーム履歴など)
路線価からの割り戻し計算
これらを根拠に、「3,500万円は売り出し希望価格としてはあり得るが、成約価格としては3,100万円が上限である」という論理的な結論を導き出しました。
T様がこの査定書を見せても「安く買い叩こうとしている」と疑われるだけです。 そこで、当社の担当者が夫に対して直接説明を行いました。
「もし3,500万円で市場に出した場合、売れるまでに1年以上かかる可能性が高いです。その間の管理費や税金、仲介手数料(約100万円)を引くと、手元に残るお金は結局これくらいになります」
「夢の金額」ではなく「現実の手残り金額」をシミュレーションして見せることで、夫の冷静さを取り戻させました。
さらに、T様が買い取る(=名義変更する)ことのメリットを夫に提示しました。
仲介手数料がかからない(※個人間売買の場合)
内覧対応などの手間がない
「今すぐ」現金化できる
「高く売れるかもしれないが、いつ売れるか分からないし手数料も引かれる第三者への売却」と、「価格は適正だが、手数料なしで即現金化できる妻への譲渡」。 どちらが得かを天秤にかけてもらいました。
私たちの説明を受けた夫は、「確かに手数料や手間を考えたら、今すぐ妻に譲った方が合理的だ」と納得。 最終的に、当初の夫の希望より350万円低い「3,150万円」での評価額で合意に至りました。
名義変更: 夫の持分をT様へ移転。
支払い: T様が単独で住宅ローンを借り換え、夫のローン残債を完済+差額の財産分与を支払い。
「夫があんなに素直に納得するとは思いませんでした。私が何度言っても『お前はケチだ』と聞く耳を持たなかったのに…。 やはり、プロが作った資料と説明には説得力があるんですね。おかげで高値掴みをせずに済み、これからの生活費も守れました」
不動産の価格交渉は、夫婦だけでやると必ず感情的になります。 「高く売りたい」「安く買いたい」という利益相反がある以上、お互いが疑心暗鬼になるのは当然です。
そんな時こそ、私たちのような「不動産のプロ」を審判役として使ってください。
公平な価格の算出
相手への論理的な説明
代替案(売却した場合との比較)の提示
これらは、法律の専門家である弁護士さんでも難しい、不動産会社だからこそできる専門領域です。
「相手の提示額に納得できない」 「どうすれば適正価格で話し合えるか分からない」
そう思ったら、ハンコを押す前に一度ご相談ください。 あなたが損をしないための「本当の価値」を、私たちが証明します。
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