今回は、「離婚することになったが、子供の学校や生活環境を変えたくないので、今の家に住み続けたい。しかし、私はパート勤務で年収が低く、銀行に相談しても相手にしてもらえなかった…」という状況で悩まれていた、大阪府のS様(30代女性)の解決事例をご紹介します。
離婚時の家の名義変更において、「妻の収入が低い(パート・契約社員など)」という理由は、最も大きな壁の一つです。
しかし、結論から申し上げますと、正しい戦略と銀行選びを行えば、パート勤務の方でも単独名義に変更できる可能性は十分にあります。
S様がどのようにして「年収の壁」を乗り越え、無事に自分名義のマイホームを手に入れたのか、その全貌を解説します。
もくじ
まずは、ご相談いただいた当時のS様の状況を整理します。
依頼者: S様(30代後半・女性)
家族構成: 夫(会社員)、妻(パート)、子供2人(小学生)
職業・年収: 夫:年収500万円(正社員)
妻:年収110万円(パート勤務・勤続3年)
住宅ローンの状況:
購入時の価格:3,800万円
現在のローン残高:2,800万円
契約形態:ペアローン(夫1,400万円/妻1,400万円)
持分割合:夫 1/2、妻 1/2
協議離婚の話が進む中で、夫からは「家を出ていくが、自分の分の住宅ローン(1,400万円の債務)と家の名義は抜いてほしい。それができないなら家を売却して精算したい」という条件が出されていました。
S様は子供のために「自分が夫の持分とローンを引き受けて住み続けたい」と考え、現在借りている銀行に相談に行きました。しかし、銀行の回答は冷酷なものでした。
銀行担当者: 「S様の現在の年収(110万円)では、2,800万円のローンを単独で組むことは不可能です。最低でも年収300万円〜400万円はないと、名義変更(借り換え)の審査には通りません」
ペアローンを解消するには、「夫のローン残高を妻が肩代わりする(借り換える)」必要がありますが、S様の返済能力では審査の土俵にも上がれなかったのです。
途方に暮れていたS様が、当センターのホームページを見つけ、無料相談にお越しになりました。
解決策のお話の前に、なぜ銀行はここまで厳しく断るのか、その理由を知っておく必要があります。これを知ることで、対策が見えてきます。
銀行審査で最も重視されるのが「返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)」です。多くの銀行では、この比率が30%〜35%以内でないと審査に通りません。
S様の場合(概算):
2,800万円を借りた場合の年間返済額:約100万円
年収:110万円
返済負担率:約90%(圧倒的にアウト)
生活費を考えれば返済は不可能と判断されて当然の数字です。
多くの都市銀行(メガバンク)やネット銀行は、審査基準として「正社員であること」や「年収〇〇万円以上」という明確な足切りラインを設けています。パート勤務というだけで、機械的に審査落ちになってしまうケースが大半です。
「年収110万円」という数字だけ見れば絶望的ですが、私たちはS様の状況を詳細にヒアリングし、以下の3つの戦略を組み合わせることで審査通過を目指しました。
まず、2,800万円全額を借りる必要がないよう、離婚協議の内容を調整しました。
通常、夫から妻へ支払われる「財産分与(現金)」や、これまでの「預貯金」を頭金として投入することで、借入希望額を2,800万円から2,300万円まで圧縮しました。
また、養育費に関しては「公正証書」を作成し、確実に毎月入金される取り決めを行いました。非常に稀ですが、銀行によっては、養育費の一部を「みなし年収」として加算して見てくれる場合があるため、この書類準備は必須です。
これが今回の最大のポイントです。 S様単独の年収では足りないため、同居予定ではありませんでしたが、近居に住むS様のお父様(年金受給者および不動産収入あり)に協力をお願いしました。
多くの銀行では「同居」が条件となりますが、一部の柔軟な金融機関では、「親族の収入を合算(所得合算)」することで、世帯全体の返済能力として審査してくれる場合があります。
S様の年収:110万円
お父様の年収:250万円(年金+不動産所得)
合算世帯年収:360万円
これにより、審査のテーブルに乗る「年収基準」をクリアすることができました。
メガバンクやネット銀行は、審査が「スコアリング(点数)方式」であるため、パート勤務や所得合算の条件で弾かれがちです。
そこで今回は、S様の居住エリアにある「信用金庫(しんきん)」にターゲットを絞りました。信用金庫や労働金庫は、数字だけでなく「個別の事情」や「家族の協力体制」を考慮して、人間味のある審査をしてくれる傾向があります。
当センターから金融機関の担当者へ、 「S様は勤続年数が長く雇用が安定していること」 「お父様のバックアップが確実であること」 「公正証書により養育費が確保されていること」 を資料として提出し、粘り強く交渉を行いました。
審査の結果、見事に満額承認を獲得しました。
名義: 夫・妻の共有 → S様(妻)の単独名義へ変更
ローン: ペアローン完済 → S様単独のローンへ借り換え実行
夫の債務: 完全に免除(連帯保証などもなし)
「最初は銀行に門前払いをされて、もう家を手放すしかないと毎日泣いていました。でも、先生方が私の知らない方法(父との収入合算や、話を聞いてくれる銀行探し)を提案してくれたおかげで、子供たちとこの家で暮らせることになりました。本当にありがとうございました。」
S様は現在、養育費とご自身の収入をやりくりしながら、平穏な生活を送られています。
今回のS様の事例からお伝えしたいのは、「今の年収が低いからといって、すぐに諦める必要はない」ということです。
もちろん、全てのケースで審査に通るわけではありません。しかし、以下のような方法を検討する余地は残されています。
収入合算: 親や成人した子供の収入を合わせる。
銀行選び: メガバンクではなく、信金・労金・ノンバンクなどを検討する。
減額: 財産分与や親族からの援助で、借入額自体を減らす。
期間延長: 返済期間を最長(完済時80歳など)まで伸ばし、月々の負担を下げる。
自分一人で銀行に行き、マニュアル通りの対応で断られてしまったとしても、「見せ方」や「交渉先」を変えるだけで、結果が180度変わることがあります。
「私の年収で審査に通るだろうか?」 「夫が協力的ではないけれど進められるか?」
このような不安をお持ちの方は、ぜひ一度「離婚時の家の名義変更サポートセンター」にご相談ください。 私たちは不動産と金融、そして離婚手続きのプロフェッショナルとして、あなたの状況に合わせた最適な「家の守り方」をご提案します。
相談は無料です。手遅れになる前に、まずは現状をお聞かせください。
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