今回は、「離婚して今の家に住み続けたいけれど、建物の名義は夫、土地の名義は夫の父親(義父)になっている。こんな複雑な状況で、私(妻)の名義に変更して住むことはできるのか…」と悩まれていた、大阪府のT様(30代女性)の解決事例をご紹介します。
離婚に伴う家の財産分与で、意外と多いのが「土地と建物の名義人が違う」というケースです。 特に、親の土地に子供夫婦が家を建てた場合、土地は親(義父)、建物は夫という「ねじれ現象」が起きています。
「夫は家をくれると言っているけど、土地は義父のもの。追い出されたりしない?」 「義父に地代(借地料)を払わないといけないの?」
T様もまた、この複雑な権利関係と、義実家との今後の関係性に強い不安を抱えていました。 しかし、私たちはT様に「土地と建物をセットで手に入れる(完全な所有権にする)」という解決策を提案しました。
今回は、T様がどのようにして義父・夫との交渉をまとめ、安心して暮らせるマイホームを手に入れたのか、その全貌を解説します。
もくじ
まずは、ご相談いただいた当時のT様の状況を整理します。
依頼者: T様(30代後半・女性・パート)
家族構成: 夫、T様、子供2人(小学生)
建物の名義: 夫単独(住宅ローン残高1,500万円)
土地の名義: 夫の父(義父)単独
土地の使用関係: 地代は払わず、無償で借りている「使用貸借」
T様は、子供の学区を変えないために、離婚後もこの家に住み続けたいと希望していました。 夫は「ローンを引き受けてくれるなら、建物の名義はTに変えてもいい」と同意していましたが、問題は土地を持つ義父です。
義父からは「離婚するなら、他人であるお前(T様)に土地を貸す義理はない。出て行って更地にして返せ」と厳しい言葉を投げかけられていました。
法的に見ても、タダで借りている「使用貸借」は非常に権利が弱く、土地の所有者(義父)から「出て行け」と言われれば対抗するのは困難です。 このままでは、建物の名義を変えても、いつか土地を追い出されるリスクがありました。
親の土地に家を建てる際、多くのケースでは「使用貸借(タダ借り)」か「賃貸借(地代を払う)」の契約を結んでいます。 しかし、これらはあくまで「息子夫婦だから」という信頼関係の上に成り立っているものです。
離婚して「元嫁」という他人になると、その前提が崩れます。
使用貸借の解消: 「親族関係の終了」を理由に契約解除を迫られる。
借地権の買い取り: 「土地を使いたいなら買え」と言われるが、高額で買えない。
底地(土地)の売却: 義父が土地を第三者に売ってしまい、新しい地主とトラブルになる。
T様が安心して住み続けるには、この不安定な**「土地の利用権」**を盤石なものにする必要がありました。
私たちはT様に対し、「建物だけでなく、土地も一緒に買い取る」ことを提案しました。 義父にとってもメリットのある提案をすることで、交渉をまとめ上げる作戦です。
義父に対し、感情論ではなく経済合理性で交渉を行いました。
「更地にして返すとなると、解体費用(約200万円)は夫(息子)の負担になります。それよりも、土地を適正価格でT様に売却し、まとまった現金を手に入れませんか?」
義父は当初渋っていましたが、「固定資産税の負担もなくなる」「孫のためになるなら」という点、そして何より「解体費を息子に背負わせたくない」という親心から、売却に同意しました。
次に、資金の調達です。 T様はパート勤務でしたが、以下の内容を一本の住宅ローンとして申し込む計画を立てました。
夫の建物ローン残債(1,500万円)の借り換え
義父からの土地購入資金(1,000万円)
諸費用
合計約2,800万円のローンです。 通常、パート勤務での単独ローンは厳しいですが、「養育費を合算できる銀行」を選定し、さらに実家のお父様を連帯保証人に立てることで、審査の承認を得ることができました。
手続きは無事に完了し、権利関係は以下のように整理されました。
建物: 夫 → T様へ名義変更
土地: 義父 → T様へ売買による名義変更
お金: 夫はローン完済、義父は土地代金(現金)を獲得
「義父から『出て行け』と言われた時は絶望的でしたが、まさか土地ごと私のものにできるなんて夢のようです。 先生が義父に『お孫さんのために』と説得してくれたおかげです。これで誰に気兼ねすることなく、子供たちとずっとここで暮らせます」
土地と建物の名義が違う状態は、離婚時に限らず、将来の相続などでも必ずトラブルになります。 今回の離婚を「ピンチ」ではなく「権利関係を整理するチャンス」と捉え、思い切って買い取る決断をしたことが、T様の勝因でした。
親名義の土地に住んでいる
借地権や使用貸借の契約があいまい
義実家と交渉するのが怖い
そんな方は、当事者だけで話し合わず、必ず不動産のプロを入れてください。 感情的な対立を、客観的な「取引」に変えることで、解決への道が開けます。
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