今回は、「夫のDV（暴力・暴言）が原因で別居中。離婚して家の名義を自分に変えたいけれど、夫と顔を合わせるのが怖くて手続きが進められない…」という状況で悩まれていた、福岡県のF様（30代女性）の解決事例をご紹介します。

離婚協議において、DV（ドメスティック・バイオレンス）やモラハラの問題は深刻です。 特に、家の名義変更のような複雑な手続きには、相手の協力（実印や署名）が不可欠であり、どうしても連絡を取らざるを得ない場面が出てきます。

「夫に連絡したら、また怒鳴られるかもしれない」 「会うのが怖いから、家ごともう諦めようか…」

恐怖心から、正当な権利であるはずの財産分与を放棄してしまう女性は少なくありません。

しかし、F様は「代理人」を立てることで、夫と一度も会うことなく、電話で話すことさえなく、無事に家の名義を自分単独に変更することに成功しました。

今回は、F様がどのようにして「恐怖」から解放され、安全に手続きを完了させたのか、その具体的なサポート内容を公開します。

相談者F様の状況と抱えていた「恐怖」

まずは、ご相談いただいた当時のF様の状況を整理します。

基本データ

• 依頼者: F様（30代後半・女性・パート）

• 家族構成: F様、子供2人（シェルターを経て実家へ避難中）

• 相手方: 夫（40代・会社員・DV気質あり）

• 家の状況: 夫単独名義、住宅ローンあり

• 希望: 子供の学区のため、夫を退去させて自分が家に住み続けたい

直面していたトラブル：夫との接触不可

F様は夫の暴力に耐えかねて子供と家を飛び出し、別居状態にありました。 離婚調停を申し立てていましたが、夫は「家は俺のものだ」「戻ってこないならローンは払わない」と脅しのような連絡を繰り返していました。

F様は、恐怖で夫からの着信音を聞くだけで動悸がする状態で、とても冷静に「名義変更の手続き」の話などできる精神状態ではありませんでした。

「弁護士さんには離婚の話はお願いしていますが、住宅ローンのこととなると『銀行と話してください』と言われてしまって…。 銀行に行っても『ご主人と来店してください』と言われるだけで、どうにもならないんです」

F様は、法律と不動産実務の狭間で孤立していました。

なぜ「DV案件」の名義変更は難しいのか？

通常の不動産会社や銀行は、DVの事情を考慮してくれません。

• 銀行: 「名義変更にはご主人（債務者）の同意と来店が必要です」

• 不動産会社: 「ご主人に査定の立ち会いをお願いしてください」

このように、どうしても「当事者同士の協力」を前提とした対応をされてしまいます。 これが、DV被害者が家を諦めざるを得なくなる最大の要因です。

しかし、私たちのような「離婚不動産の専門家」が間に入ることで、この前提を覆すことができます。

【解決策】F様を守るための「完全代理サポート」

私たちはF様に対し、「F様は一切表に出なくていい。すべて私たちが窓口になります」と約束し、以下のサポートを実行しました。

STEP 1：夫への「窓口変更」通知

まず、私たちがF様の代理窓口（使者）となり、夫に対して連絡を取りました。 威圧的な態度を取る夫に対しても、私たちは感情的にならず、あくまで事務的に、しかし毅然とした態度で接します。

「奥様は体調不良のため、今後の家の手続きに関する連絡はすべて弊社が承ります」

こう伝えることで、F様への直接連絡をブロックしました。 夫にとっても「第三者（会社）」が出てきたことで、感情的な暴言を吐きにくくなる抑止効果が働きました。

STEP 2：弁護士と連携した「退去交渉」

夫を家から退去させる交渉は、提携弁護士と連携して進めました。 「このまま揉めて競売になれば、あなたの社会的信用も傷つきますよ」というデメリット（リスク）を淡々と説明し、「任意売却（妻への売却）」に応じるよう説得を行いました。

結果、夫は「ローンがチャラになるなら」と渋々ながら退去と売却に同意しました。

STEP 3：非対面での「契約・決済」手続き

通常、不動産売買の契約や銀行での決済には、売主（夫）と買主（妻）が同席する必要があります。 しかし、F様にとってそれは耐え難い苦痛です。

私たちは銀行や司法書士と事前に調整し、「持ち回り契約（別々の場所で署名）」と「別室決済（時間をずらして手続き）」を手配しました。

• 夫の手続き: 午前中に弊社担当者と司法書士が対応。

• F様の手続き: 午後にご来店いただき、手続き。

これにより、F様は夫の姿を見ることなく、声を聞くこともなく、すべての手続きを完了させることができました。

解決の結果：恐怖からの解放と、安住の地

手続きがすべて終わり、家の名義がF様単独になった日。 鍵を受け取ったF様は、安堵の涙を流されました。

• 名義: 夫 → F様単独へ変更

• 環境: 夫は退去し、F様と子供たちが自宅に戻る

• 精神面: 「夫がいつ来るか」という恐怖におびえることなく、鍵も交換して安心して暮らせるように

F様からのご感想

「『絶対に会わなくていい』という言葉を信じて本当によかったです。 担当の方が私の代わりに夫と話してくれたおかげで、私は子供のことだけを考えて過ごせました。 不動産屋さんなのに、ここまで心に寄り添ってくれるなんて思いませんでした。本当に命の恩人です」

専門家からのアドバイス：一人で戦う必要はありません

DVやモラハラを受けている方は、「私が我慢すればいい」「相手を怒らせたくない」と考えてしまいがちです。 しかし、それではあなたとお子様の未来は守れません。

「怖い相手」との交渉こそ、プロを使ってください。

私たちは、あなたの「心の盾」になります。 直接話す必要はありません。書類を見るのも辛いなら、私たちが読み合わせをします。

「会わずに解決したい」 その願いは、わがままではありません。当然の権利です。

まずは、あなたの安全な場所から、LINEやメールでご相談ください。 秘密は厳守します。

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