今回は、「離婚することになり、夫から『養育費の代わりに家をあげる』と言われた。口約束だけで信じていいのか、後でトラブルにならないか心配…」という状況で悩まれていた、大阪府のS様(30代女性)の解決事例をご紹介します。
離婚協議において、「家」と「養育費」はセットで語られることが多いテーマです。 特に、将来の養育費支払いに不安がある場合、「現物(家)をもらうことで一括精算したい」と考えるのは、お子様との生活を守る母親として自然な願いです。
しかし、ここで最も危険なのが、「二人だけで話し合って、口約束や簡単な覚書だけで済ませてしまうこと」です。
「夫があげると言っているから大丈夫」 「登記費用もかかるし、名義変更は後でいい」
そう思って放置した結果、数年後に元夫の状況が変わり、「やっぱり家は返せ」「出て行け」と言われるトラブルに発展することは珍しくありません。
大切なのは、「約束」を「確実な権利」に変えることです。 今回は、S様がどのようにして不安な口約束を法的に強力な権利に変え、安心して住み続けられる環境を手に入れたのか。そして、私たちがその過程でどのようなサポートを行ったのか、その全手順を解説します。
もくじ
まずは、ご相談いただいた当時のS様の状況を整理します。
依頼者: S様(30代後半・女性・パート)
家族構成: S様、子供2人(小学生)
相手方: 夫(40代・会社員)
家の状況: 夫単独名義、住宅ローン完済済み(親からの援助で完済)
離婚理由: 性格の不一致(夫側からの申し出)
離婚を急ぐ夫から、以下のような提案がありました。
「養育費を毎月払い続けるのは大変だ。その代わり、今住んでいる家(査定額2,000万円相当)を君にあげる。ローンもないし、これで養育費はチャラにしてほしい」
条件としては悪くありません。しかし、S様が「じゃあ、すぐに名義変更の手続きをしたい」と言うと、夫は難色を示しました。
「登記費用も高いし、名義を変えなくても僕が勝手に売ったりしないよ。固定資産税も僕が払うから、そのままでいいじゃないか」
S様は直感的に「これは危ない」と感じました。 夫の言葉を信じたいけれど、もし再婚して気が変わったら? もし夫が借金をして家が差し押さえられたら? 何より、家の名義もローンのこともよく分からない自分一人で、夫と対等に交渉できる自信がありませんでした。
そんな不安を抱え、「家のことなら、ここなら何とかしてくれるかもしれない」と、当センターへ相談に来られました。
S様の直感は正解です。不動産の世界では、「登記(名義変更)をしていない権利は、第三者に対抗できない」という鉄則があります。 私たちはプロとして、S様に「現状のまま放置するリスク」を正直にお伝えしました。
登記名義が夫のままである以上、夫はS様の許可なく、勝手に家を売却することができます。買った人(第三者)から「出て行ってください」と言われれば、口約束だけのS様は対抗できません。
夫がカードローンや税金を滞納した場合、夫名義の家は真っ先に「差押え」の対象になります。競売にかけられれば、S様と子供は住む場所を失います。
数年後、夫が再婚して新しい家族ができたらどうなるでしょうか? 「あの時はあげるつもりだったけど、事情が変わった。家賃を払ってくれ」と言い出すケースは山ほどあります。
「S様、お子様との生活を守るためには、『信じる』ことではなく『手続きする』ことが必要です」 私たちのこの言葉に、S様は「きちんと手続きを進めたい」と決意されました。
S様の決意を受け、私たちは「夫の提案を法的に確実なものにし、S様単独名義にする」ためのトータルサポートを開始しました。
まず、夫との合意内容を「離婚協議書」にまとめ、公証役場で**「公正証書」**にする手配を行いました。 単に「家をあげる」と書くだけでは不十分です。私たちは提携する専門家と連携し、以下のような条項を盛り込みました。
「財産分与として、夫は妻に対し、本件不動産を譲渡する」
「本件譲渡は、将来発生する養育費の支払い(一部または全部)に代えるものである」
「夫は、○月○日までに所有権移転登記手続きに協力する」
これにより、「養育費の未払い」を防ぐと同時に、「家をもらう法的根拠」を確定させました。S様からは「どんな文言にすればいいか分からなかったので、全部お任せできて助かった」と安堵の声をいただきました。
公正証書ができたら、次は法務局での手続きです。 夫には「公正証書通りに手続きしないと、養育費の請求権が復活しますよ」ということをやんわり、しかし明確に伝え、協力を取り付けました。
当センターが窓口となり、提携司法書士が夫から必要書類(権利証・印鑑証明書)を預かり、速やかに**「夫→S様」への名義変更**を完了させました。
「家をもらう」=「贈与税がかかるのでは?」というS様の不安も解消しました。 離婚の財産分与であれば原則として非課税ですが、念のため提携税理士が「養育費の総額」と「不動産評価額」をシミュレーションし、適正な範囲内であることを確認した上で処理しました。

手続き完了後、登記簿の所有者欄には「S様」の名前が記載されました。
夫の介入ゼロ: 家は完全にS様のものとなり、夫が勝手に売ることも、担保に入れることもできなくなりました。
将来の安心: 「いつか追い出されるかも」という恐怖から解放され、母子で安心して暮らせる生活基盤が整いました。
「最初は夫の『そのままでいいじゃん』という言葉に流されそうでしたが、相談して本当によかったです。 『登記をしないと自分のものにはなりません』とハッキリ言われて目が覚めました。 難しい法律の話や夫とのやり取りも、間に入ってサポートしてくださったおかげで、私はハンコを押すだけで済みました。これで子供たちを守れます」
すでに弁護士さんに相談している方も、不動産の実務的な観点(いくらで売れるか、ローンはどうなるか)からのアドバイスを求めて来社されます。
離婚に伴う不動産の名義変更やローンの問題は、一生に一度あるかないかの大きな出来事です。 「何をどうすればいいか分からない」のは当然のことです。
しかし、その「分からない」を放置してしまうと、大切な資産を失ったり、将来のトラブルに巻き込まれたりするリスクがあります。
「あなたとお子様の未来を守るために、不動産のプロとしてできることがあります」
当センターでは、単なる手続きの代行だけでなく、 「あなたの場合はどうするのが一番安心か?」 「夫(妻)とどう交渉すればスムーズか?」 といった、解決までの道のりをトータルでデザインし、伴走いたします。
もし、今少しでも不安を感じているなら、まずは一度お話をお聞かせください。 あなたが笑顔で新しい生活をスタートできるよう、私たちが全力でサポートいたします。
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