今回は、離婚協議中の多くの方が直面する「ペアローン問題」について解説します。「離婚したら、家のローンはどうなるの?」「相手の連帯保証人から抜けたいけれど、銀行に断られた…」そんな悩みを持つ、大阪府のA様(30代・会社員)のような方のための基礎ガイドです。
近年、不動産価格の高騰により、夫婦二人の収入を合算して借り入れる「ペアローン」を利用するご家庭が増えています。
購入時は「二人で力を合わせて返そう」と誓ったペアローンですが、離婚となると、これほど厄介なものはありません。なぜなら、夫婦の縁は切れても、銀行とのローン契約(連帯保証関係)は切れないからです。
「ペアローンを解消せずに離婚する」ことは、将来的に大きな爆弾を抱えることになります。
この記事では、年間400件以上の相談を受ける当センターが、離婚に伴うペアローン解消の仕組みと、単独名義にするための具体的なステップを解説します。
もくじ
ペアローンとは、一つの物件に対して夫婦それぞれが主債務者となり、お互いに相手の連帯保証人になっている状態を指します。
離婚をする際、財産分与として「家の名義」をどちらかに一本化したいと考えるのが通常です。しかし、家の名義(所有権)を変えても、ローンの名義(債務)は自動的には変わりません。
銀行にとって、ペアローンは「二人分の返済能力があるから貸したお金」です。 離婚を理由に「一人にしたい(連帯保証人を外してほしい)」と相談しても、「契約内容の変更は認められません」と門前払いをされるケースがほとんどなのです。
「銀行に断られたから」「手続きが面倒だから」といって、ペアローンのまま離婚して相手が住み続けることには、巨大なリスクが伴います。
これらを避けるためには、離婚のタイミングできっちりと「ペアローンの解消」を行う必要があります。
解消方法は大きく分けて2つです。
家を売ってローンを全額返済します。これが最も後腐れのない方法です。 ただし、「アンダーローン(売却額 > ローン残債)」であることが条件です。 売ってもローンが残る「オーバーローン」の場合は、差額を現金で用意しない限り、銀行は抵当権を抹消してくれず、売るに売れない状態になります。
「子供の学校を変えたくない」「愛着がある」などの理由で、例えば夫が家に住み続け、妻が出ていくケースです。 この場合、夫がローンを「単独名義で借り換え」するか、妻のローン分を夫が「一括返済」することで、ペアローンを解消します。
「夫が一人でローンを引き継ぐ」という形(方向性B)が最も多い相談ですが、これには高いハードルがあります。
それは「夫一人の年収で、残りのローン全額を借りられる審査能力があるか?」という点です。
例えば、4,000万円のローンを夫婦(夫2,000万+妻2,000万)で組んでいた場合、夫一人で4,000万円を借り直す審査に通らなければなりません。 購入時よりも年収が上がっていれば良いのですが、そうでない場合、通常の銀行審査では「返済比率オーバー」となり否決されてしまいます。
ここをどう突破するかが、私たち専門家の腕の見せ所です。
では、実際にどう進めればよいのでしょうか。
まずは「家の価値」と「ローン残高」を正確に知ることから始まります。
夫が住み続ける場合、夫単独での借り換え審査を行います。 もし今の銀行で断られても、他行への借り換えなら通る可能性があります。 また、年収が足りない場合でも、「親子リレーローン」への変更や、親族からの援助を組み込むなど、テクニカルな解決策を模索します。
※自営業の方など、審査に不安がある方は以下の記事も参考にしてください。
自営業の離婚|節税で所得が低くても家の名義変更・ローン審査を通す方法
ローンの承認が降りたら、その条件を盛り込んだ離婚協議書を作成します。「財産分与として家を譲渡する」という内容を明確にし、ローンの実行(借り換え)と同時に、法務局で所有権移転登記を行います。
ペアローンの解消は、離婚届を出した後では手続きが複雑化し、相手と連絡が取れなくなるなどのリスクも高まります。
「離婚届を出す前に、家の問題を解決する」 これが鉄則です。
「銀行に無理と言われた」「相手と話が進まない」という場合でも、諦める前に一度ご相談ください。年間400件の解決実績を持つ私たちが、あなたの状況に合わせた最適な「ペアローン解消プラン」をご提案します。
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ペアローン解消についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。