今回は、このように「安く売買すれば得をする」と信じていたところ、税理士から「数百万円の税金がかかる可能性があります」と指摘され、青ざめてしまった大阪府のT様(30代女性)の事例をもとに、夫婦間売買の価格設定に潜む罠を解説します。
離婚に伴う不動産の売買において、当事者だけで価格を決めると、どうしても「なぁなぁ(お手盛り)」になりがちです。
「他人なら3,000万円だけど、身内だから2,000万円でいいよ」 「借金と相殺するから、タダであげるよ」
人情としては理解できますが、税務署はこれを許しません。 相場とかけ離れた価格での取引は、「実質的な贈与(プレゼント)」とみなされ、ペナルティのような課税を受けることになります。
さらに恐ろしいのが、税金には「連帯責任」があるということです。 今回は、知らずにやると後悔する「低額譲渡」と「連帯納付義務」について解説します。
もくじ
T様のケースを見てみましょう。
T様は「1,500万円安く買えてラッキー」と思うかもしれませんが、税務署はこう見ます。 「夫から妻へ、1,500万円をプレゼントした(贈与した)」
これを「低額譲渡(ていがくじょうと)」と言います。 この場合、差額の1,500万円に対して「贈与税」がかかります。一般税率で計算すると、約450万円もの税金が発生する計算になります。 「安く買った」つもりが、後から巨額の税金請求が来る。これが夫婦間売買の最大の落とし穴です。
借金の肩代わりなどで、相場より著しく高い金額で買い取った場合も問題になります。 売った側(夫)に不当な利益(債務免除益)が生じたとみなされ、所得税がかかる可能性があります。
つまり、「高すぎても安すぎてもダメ。あくまで時価(適正価格)でなければならない」のです。
もう一つ、離婚後の元夫婦を襲うのが「贈与税の連帯納付義務」です。
もし、先ほどのケースでT様(妻)に450万円の贈与税がかかったとします。 しかし、T様にお金がなく、税金を滞納してしまったらどうなるでしょうか?
なんと、あげた側(売った側)である夫に、「妻の代わりに払え」という請求が来ます。
「離婚したんだから関係ない!」と言いたくなりますが、法律上、贈与者(夫)と受贈者(妻)は税金について連帯責任を負うことになっています。 元妻の税金滞納のせいで、元夫の給料や財産が差し押さえられる……そんな悪夢のような事態が現実に起こり得るのです。
こうしたトラブルを防ぐためには、以下の3つのポイントを守る必要があります。
固定資産税評価額やネットの簡易査定ではなく、近隣の取引事例に基づいた精緻な査定書を作成し、「時価」を特定します。 この査定書が、万が一税務調査が入った時の「証拠」になります。
個人間のメモ書きのような契約書ではなく、宅建業者が作成した正式な書類を残します。 「これは贈与ではなく、適正な売買取引である」ということを客観的に証明するためです。
契約を結ぶ前に、提携税理士が「この価格ならみなし贈与にならないか」「譲渡所得税はいくらになるか」をシミュレーションします。
T様の場合も、私たちの提案で「売買価格を2,500万円(時価)」に修正しました。 「えっ、高くなるの?」と心配されましたが、実際のお金の動きは以下のように調整しました。
これにより、「適正価格での売買」という形を保ちつつ、実質的な負担を調整し、贈与税のリスクを完全に排除しました。
「身内だから適当でいい」は間違いです。身内だからこそ、税務署は厳しくチェックします。
この仕組みを理解せずに進めると、離婚して数年後に「税務署からのお尋ね」が届くことになります。
当センターでは、不動産実務と税務のプロがタッグを組み、「銀行審査に通り、かつ税金トラブルにならない最適なプラン」をご提案します。 価格を決めてしまう前に、まずは無料診断をご利用ください。
多くの銀行は、離婚に伴う単なる「名義変更」や「借り換え」を嫌がります。 スムーズに審査を通すコツは、「夫から妻へ、正式に家を売却する(元夫婦間売買)」という形をとることです。 これには不動産会社が作成する「重要事項説明書」「売買契約書」が必須です。銀行に行って断られる前に、まずは私たちにご相談ください。
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